そのネクタイを用いる事で、世界の多くの人々が礼装と認識するネクタイが、本当の礼装用ネクタイです。礼服の付属品ではありません。礼装のキーポイント、礼装の決め手です。
それは、夕暮れ迄の礼装用としてアスコットタイ、お昼頃からの礼装用として蝶ネクタイ、弔事の際の礼装用として黒ネクタイです。
これさえあれば、例え礼服を持っていなくても、世界の多くの人々が認めるグローバルスタンダード(世界基準)の礼装が、可能です。
その他の礼装用ネクタイ…モーニングタイ、白ネクタイ、クロスタイ、等々は、礼服、その他礼装品と組合わされた時だけの、礼装用ネクタイです。
アスコットとは、英国はロンドン近郊、バークシャー州アスコット・ヒースにある有名な競馬場。1711年以来、 毎年6月に国王の臨席のもとに開かれるアスコット競馬に、1850年頃あらわれたのが、英国伝統のアスコットモーニング&アスコットタイです。
そして当初の幅広スカーフ状のものから、現在のアスコットタイの形になったその影には、我々日本人の知恵と工夫がありました。
文明開化は明治の初め、フロックコート等と共に伝来したアスコットタイは、日本人にとって、実に扱いにくい代物でした。およそ幅2寸余り、長さ5尺程の「ネッキタイ」なる衿飾りは、御雇い外国人の様にうまく結べませんでした。出仕、会合に遅れる事 たびたび…そこで、ある知恵者が、結んだ形にして紐を縫い付け、首の後ろで縛りました。
広げた形が、漢字の「又」の字に似ていましたので、「又の字」と呼ばれ一世を風靡しました。
これは便利と言う事で、1920年代には世界中に広まりました。その後、長さ調節の金具や留金が、用いられる様になり、現在の形になりました。
そして欧米でも本来の形のアスコットタイは、1945年、第二次世界大戦を境に、完全に姿を消しました。
カジュアル用のアスコットスカーフ(パフタイ)と、アスコットタイを混同、勘違いしてしまった平成の日本に、日本人の考案による本物のアスコットタイ「又の字」が、100年ぶりに戻って来ました。タキシード会議のアスコットタイは、グローバルスタンダード(世界基準)の確かなフォーマルです。
御注意:日本で売られているアスコットタイの殆どは、世界の多くの人々がアスコットスカーフ(パフタイ)と呼んでいるものです。これは、1870年代にアスコットタイの結び方から、派生したカジュアル品です。正礼装に用いる事は、決して有りません。
アスコットタイ&立衿シャツで、世界の多くの人々が認識する、昼の礼装アスコットです。
アスコットモーニングは、モーニング三つ揃+アスコットタイ&立衿シャツの組合わせ。英国伝統の着方です。格式を重んじる結婚式の御両家の主立った方々、御仲人様、主賓の方々に、お勧め致します。
特にグレーのモーニングとの組合わせは、欧米では定番の花婿ファッション。夕暮れ迄の結婚式・披露パーティに、お勧め致します。
ダークスーツ・ブラックスーツ(略礼服)・ブレザー等+アスコットタイ&立衿シャツの組合わせ。これで色々な服が、世界の多くの人々が認識する「アスコットな楽礼装」になります。楽しい結婚式・披露パーティに、お勧め致します。
そして御両家のお父様・御仲人様には、ブラックスーツ(略礼服)の上着+モーニングの縞ズボン+アスコットタイ&立衿シャツの「アスコットな楽礼装」ディレクターズを、お勧め致します。
尚、上着のVゾーンが大きい場合は、ベストを組合わせて下さい。
モーニングの縞ズボンと同様に、モーニングの黒と白の縞ネクタイは、昼間の礼装の象徴です。しかし、アスコットタイ程、色々な服を礼装に変える力は有りません。
モーニング三つ揃+モーニングタイ+立衿シャツor白ワイシャツの組合わせ。今では、格式ある儀式・セレモニー専用です。
ブラックスーツ(略礼服)も、+モーニングタイで、辛うじて世界の人々も昼間の礼装と、認識する様です。更に+立衿シャツ+モーニングの縞ズボンを組合わせれば、世界の多くの人々は間違い無く、グローバルスタンダード(世界基準)の昼間の礼装と、認識致します。
御注意:日本の常識、ブラックスーツ(略礼服)に白ネクタイの略礼装は、世界の非常識です。
1969年ビニックス社から、花婿のモーニング用ネクタイとして新発売。折りからの結婚ブームで大流行。すぐにブラックスーツ(略礼服)と組合わされて、これも大流行。しかし近年、在日来日の世界の人々の評判、はなはだ芳しからず…。日本では、慶事、祝事の礼装用ネクタイとして、広く用いられていますが、世界の多くの人々の目には、単なるブラックスーツと、単なる白のネクタイの組合わせ…ビジネスの着方、としか見ていません。そこで次の礼装事例にて、改めて使用上のご注意を申し上げます。
モーニング三つ揃+白ネクタイ+立衿シャツor白ワイシャツの組合わせ。花嫁のお父様、明るい光の差すステンドグラスのチャーチとか、庭園での挙式に、ピッタリです。
ブラックスーツ(略礼服)を御予定の方に、注意事項を二つ三つ…。
ドレスコードに「ホワイトタイ」…。くれぐれも、略礼服に白ネクタイの略礼装で 御出掛けなさらぬ様に…。ホワイトタイは、正礼装の燕尾服の事です。お間違いのない様に。
普通の白いワイシャツでしたら、世界の多くの人々の目には、普通の黒いスーツに、普通のワイシャツと普通のネクタイ組合わせ、・・・つまり、ビジネスの場での着方・着こなし、としか映りません。フォーマルの場での着方・着こなし、礼装とは認識致しません。
白ネクタイを他の礼装用ネクタイに替えても、五十歩 百歩、世界の嫌われ者「日本の礼装」の恐怖感が、若干薄らぐ程度でしょう。
然し、世界の多くの人々が認める「定番の礼装品」を、一品でも組合わせれば事態は変わります。
せめてネクタイを、モーニングの縞ネクタイor蝶ネクタイに替えて下さい。或いはシャツを、立衿シャツに替えて下さい。これで世界の多くの人々は、礼装と理解します。
そして普通の礼服ブラックスーツを、もっと多くの世界の人々に納得・認識させるには…、
世界の多くの人々が認識する、弔事のネクタイ。世界の多くの人々は、ダークなスーツと組合わせて用いますが、何故か日本では、ブラックスーツ(略礼服)と組合わせるだけの様です。
ドレスコードに「ブラックタイ」…。くれぐれも、略礼服に黒ネクタイの略礼装で 御出掛けなさらぬ様に…。ブラックタイは、タキシード事です。お間違いのない様に。
一般的には、ブラックスーツ(略礼服)+黒ネクタイの組合わせ。
社葬等、特に格式のある葬儀の場合の、喪主・葬儀委員長・親族は、モーニング+黒ネクタイの組合わせと、されています。
一般の参列者なら、ブラックスーツ(略礼服)に着替えなくても、ダークスーツ+黒ネクタイの組合わせ…シャツも、ダークな色調の色物ならOKです。
礼装品ではありませんが、パーティ・結婚式の行き帰り対策に、気さくなカジュアルパーティに、御勤め先のカジュアルデーに、休日のちょっとした御出掛けに、一つ有ると重宝します。お洒落に見られます。
アスコットパフ、パフタイ、カーチフ、アスコットマフラー、アスコットスカーフ、日本ではアスコットタイと、沢山の異名を持つ、このネックウェアは…
1870年代に、アスコットタイの略式の結び方から生まれました。
当時は、ネクタイとスカーフの区別は、まだ判然としていませんでした。細長いスカーフの様なものを、複雑なアスコット結びにしていましたが、ぎゅっと縛って、上になった方を広げて、結び目の下あたりでタイピンで止める…簡略な結び方・アスコットパフは、すぐに多くの人々に受入れられました。勿論、昼間の紳士の正装としてです。
そして、アスコットパフ結びに適した形の商品として、パフタイPuff tieが出来ました。
1910年代には、細かい水玉模様のパフタイは、立衿(立カラー)と共に、昼間の紳士の正装の定番品でした。
しかし、正礼装アスコットの座は、日本生れの「又の字」に、完全に奪われていました。
尚、現在も白のパフタイは、乗馬の際の正装の座を、維持し続けています。
1950年代に、パフタイは、カジュアルとして復活致します。
米国で、化繊の生地・巾40cm程・長さ160cmもある超ロングなネッカチーフ、略称カチーフKerchiefが発売されました。これを細長く折り畳んで、スポーツシャツ・カジュアルウェア・コートの下に、アスコットパフに結ぶのが大流行。アスコットスカーフ、アスコットマフラーとも呼ばれ、パフタイも戻って来ました。
1960年代には、ペズリー柄のパフタイ…アスコットスカーフが世界的に大流行、リゾートに、クルージングに、お洒落な紳士のカジュアル定番品として、定着致しました。
尚、アスコットスカーフ(パフタイ)は、日本ではアスコットタイと言う名称で、百貨店ネクタイ売り場・専門店で扱っています。
アスコットスカーフ(パフタイ)の着用事例と、緩まない結び方について、詳しくは、『軽井沢ブラックタイのススメ』をご覧ください。
蝶ネクタイは、世界最強の礼装の切り札です。
○○が入っていなくても、コーヒーはコーヒーですが、白蝶タイの無い燕尾服は、正礼装の燕尾服…ホワイトタイではありません。黒蝶タイでタキシードは、正礼装のブラックタイになります。蝶ネクタイで全ての服が、世界の多くの人々が認める礼装になります。
蝶ネクタイは、世界最小の礼装品です。
ビジネスからフォーマルに、カジュアルからフォーマルへの、簡単便利な変身小道具です。ポケットに入るフォーマルウェアです。タキシードや礼服を持って無くても、蝶ネクタイの二つ三つは常時お手元に…。
ホワイトタイ…燕尾服+白蝶タイの組合わせ。ブラックタイ…黒タキシード+黒蝶タイの組合わせ。この二つの組合わせは、変える訳には参りません。
色々なタキシード+色々な蝶ネクタイの組合わせ。
色々な服+色々な蝶ネクタイの組合わせ。「○○○○○ 蝶タイすれば タキシード 立衿のシャツで よりフォーマルに」○○には服の名を入れます。蝶ネクタイで全ての服が、世界の多くの人々が認める礼装になります。
19世紀中頃、乗馬服の燕尾服が、夜の礼服・正礼装に制定された時、ネクタイは白蝶タイでした。今でも、夜の正礼装 燕尾服では、白蝶タイ以外のネクタイを用いる事は、絶対に有りません。
ドレスコードに「ホワイトタイ」白蝶タイ…とあれば、燕尾服着用の事ですが、白蝶タイは、燕尾服専用ではありません。「逆も亦、真ならず」です。いろいろな楽しい使い方は、次の礼装事例をご覧ください。
燕尾服+白蝶タイの組合わせ。ホワイトタイ…これだけです。
黒タキシード+白蝶タイの組合わせ。20世紀初頭タキシードが、米国市民権を得た時の着方です。今でも、大勢の人が出席するパーティでは、主催者側の人達が目印代わりに、タキシードに白蝶タイを用いる事、多々あります。
白タキシード+白蝶タイ+立衿フリルのシャツの組合わせ。1970年代、花婿さんの定番スタイルでした。花嫁さんは白いドレス、花婿さんは白蝶タイ、似合うと思いませんか?
色々な服+濃い色のシャツ+白蝶タイの組合わせ。カジュアルなパーティに、チョット洒落てて素敵だと思います。社交ダンス愛好者の皆様に、お勧め致します。
1920年代、タキシードが、夜の正礼装 燕尾服に準じる礼装に認定された時、ネクタイは黒蝶タイでした。今でも、夜の正礼装 タキシードでは、黒蝶タイ以外のネクタイを用いる事は、絶対に有りません。ドレスコードに「ブラックタイ」黒蝶タイ…とあれば、タキシード着用の事ですが、黒蝶タイは、タキシード専用ではありません。「逆も亦、真ならず」です。いろいろな楽しい使い方は、次の礼装事例をご覧ください。
黒タキシード+黒蝶タイの組合わせ。ブラックタイ…これだけです。
ブラックスーツ(略礼服)+黒蝶タイ+立衿のシャツの組合わせ。最も正礼装ブラックタイに近い、タキシードな礼装です。格式ある結婚式・披露宴に向いてます。国際化の時代です。そろそろブラックスーツ(略礼服)+白ネクタイの略礼装は、ヤメにしませんか。
色々な服+色々なシャツ+黒蝶タイの組合わせ。カジュアルなパーティの、カジュアルブラックタイ…楽しいタキシードな礼装です。黒蝶タイは、サービス業専用のイメージが有りますので、黒い服、白いシャツは、避けるが無難。シャツは、色物・細かい柄物が面白い。立衿のシャツで、よりフォーマルです。
クロスタイは、1960年代にヨーロッパから全世界に大流行、コンチネンタルタイと呼ばれて、一世を風靡致しました。衿元でクロスさせて、ピンで留めて用いるので、クロスタイです
クロスタイは、手結びの蝶ネクタイの解き掛け、結ぶ途中…と言われています。
従って、正しい礼装が必要とされるセレモニー・レセプション(例えば、格式の高い結婚式)に用いられる事は、全く有りません。
くだけた、ラフなタキシードの着方・着こなしに用います。あくまでも、気の置けないカジュアルな、楽しいパーティの楽しい「タキシードのorタキシードな楽礼装」専用です。次の礼装事例をご覧ください。
有りません。楽しい礼装専用です。
例えば、格調高く正式に拘る挙式には、似合いませんが、楽しいブライダル(例えば、レストラン・庭園等)でしたら、クロスタイの方が、その場に相応しい着方・着こなしが、楽しめると思います。
結婚式:衿元で打ち合わせて、パールのタイピンで留める。披露宴:お揃いのブローチを用いて華やかに。二次会:襟元で緩く結んで、くだけた感じを演出しては如何でしょう。
組合わせる服も、シャツも、用い方も、全く自由ですが、やはりタキシードとの組合わせが、相性が一番良い様です。タキシードのジャケット・パンツ・シャツ・カマーバンドの全部or一点でも、組合わせればOKです。
そして、そのパーティの場にふさわしい色々な着方、クロスタイの打合わせ方、結び方は、いろいろ考えられます。とにかく工夫次第で、色々なパーティに使えるクロスタイです。
使わなくなったネクタイをリサイクル…。洒落た蝶ネクタイに御仕立て致します。
ビジネスのネクタイが、フォーマルのエコ蝶タイに変わります。エコ蝶タイが、スーツをタキシードに変えます。
「スーツとて 蝶タイすれば タキシード」と、世界の多くの人々が認識しています。
エコ蝶タイ一つで貴方は、ビジネスからフォーマルに早変わり…。蝶タイ一つ持たずして、国際化の時代に対応出来ません。厳しいビジネス社会は、乗り切れません。
さりとて、気に入った蝶ネクタイを見つけ出すのは、至難の業。百貨店のネクタイ売場を覗いても、お飾り程度にちょっぴり並べてあるだけです。
エコ蝶タイなら、気に入った逸品が、簡単に確実に見つかります。貴方の箪笥の中を、探索して下さい。貴方好みのエコ蝶タイの元が、幾つか発見できると思います。
礼装事例については、蝶ネクタイorビジネスフォーマルを、御覧下さい。
グレーor白黒縞のアスコットタイ…、昼(夕暮れ頃まで)の礼装の象徴です。モーニングは勿論の事、ブラックスーツ(略礼服)・ダークスーツ・ブレザーも、タキシードさえ、昼間の礼装に変えてしまいます。
モーニングの縞ネクタイ・白ネクタイでは、当り前過ぎます。淡いピンク・ブルー等のブライダルカラーとか、金・銀・白・黒等のフォーマルカラーを組合わせた柄物のネクタイ、をお勧めします。また礼装用にこだわらず、流行色の細かい柄のネクタイも洒落てます。
そして、立衿のシャツと、モーニングの縞ズボンを用いれば、完璧です。これで世界の多くの人々は、グローバル・スタンダード(世界基準)の「アスコットな楽礼装」と認識致します。
尚アスコットタイは、カジュアルのアスコットスカーフとは、全くの別物です。フォーマルを知らないメーカーの品を扱っている百貨店・専門店、意外に多くあります。御注意まで。
蝶ネクタイ…、夜(お昼頃から)の礼装の象徴です。「〇〇〇〇〇 蝶タイすれば タキシード 立衿のシャツで よりフォーマルに」全ての服を、夜の礼装タキシードに変えてしまいます。
蝶ネクタイは、いくつ有ってもイイモンです。私の場合、黒蝶タイを始めとして、定番色は勿論の事、ドレス・カーテン・洋服・その他の余り布で作ったもの、使わなくなったネクタイを仕立て直したエコ蝶タイ等々、10個以上は持ってます。服に合わせ、パーティの場に合わせて使っています。
そして、立衿のシャツと、黒タキシードのパンツを用いれば、完璧です。これで世界の多くの人々は、グローバル・スタンダード(世界基準)の「タキシードな楽礼装」と認識致します。
蝶ネクタイの色については次の質問をご覧ください。
黒の蝶ネクタイ&カマーバンドは、今では正礼装のタキシード(例えば 宮廷晩餐会とか)orホテル・レストランのユニフォーム専用の様です。
蝶タイ&カマーバンド、そしてポケットチーフも色物、柄物を用いるのが、一般的です。これならボーイ等のフロアースタッフに間違えられる事は、決してありません。
しかし礼装用小物3点(蝶タイ、カマーバンド、ポケットチーフ)全てを同じ色にする必要はありません。礼装用小物3点の内、2点(例えば、蝶タイ&カマーバンド・蝶タイ&チーフ・カマーバンド&チーフ)を、或いは1点だけ、例えばチーフだけでも、ドレスと同じ色にすれば宜しいでしょう。
現在の結んだ形のアスコットタイは、明治時代の日本で考え出されました。当時は、その形から「又の字」と呼ばれました。
それ以前の「手結びのアスコットタイ」は、幅6cm程、長さ1.5m位の帯紐状の物でした。
その結び方は、とても複雑、面倒でした。一言でいえば、プレーンノット(普通のネクタイの結び方)の2度結び。しかも2度目は、1度目の逆結びと言う難しさ。(私も、図解を見ながら挑戦しましたが、駄目でした。)左右にバラけた2本の剣は、結び目のスグ下で合せて、目立たぬ程度のピンで留めました。
今のアスコットタイの付け方は、今の蝶ネクタイの場合と同じで簡単です。
アスコットタイに関しては、日本のメンズ・ブライダル・フォーマルの業界人の殆ど全てが、ファッション評論家までが、正しく理解していません。
礼装用のアスコットタイ「又の字」も、アスコット結びの蝉(せみ)タイも、カジュアル用のアスコットスカーフ(パフタイ)も、馬術競技用のネクタイも、花婿用の涎掛けみたいなネクタイも、全てアスコットタイと呼んで、混同している様です。
従って、正真正銘のアスコットタイ「又の字」が、世界の多くの人々が認識している「昼間の礼装」の重要なアイテムである事などは、知る由も無いでしょう。
本当のアスコットタイ「又の字」は、昼間の礼装の象徴です。
アスコットタイ(スカーフではありません)+立衿のシャツ+モーニング三ッ揃の着方は、英国伝統の礼装・アスコットモーニング。その名の通り、お昼過ぎ迄の礼装です。夕刻からは、決して致しません。
今では、アスコットタイ+立衿シャツは、ダークスーツ・ブラックスーツ・ディレクターズ等と組合わせた、グローバルスタンダードの「アスコットな楽礼装」に広く用いられています。
他社のアスコットタイの中に、明治の職人達が「蝉(せみ)タイ」と呼んでいたタイプがあります。私共のは、明治の職人達が「又の字」と呼んでいたタイプです。
18世紀「スーツと言う着方」が確立し、衿飾りに「アスコット結び」が現れ、大流行。しかし当時は、衿を飾るモノは、スカーフからネクタイへ、進化の過程の真っ最中。その途中の形のモノを、「アスコット結び」にしたのが「蝉タイ」です。
これは、細長い帯紐状のネクタイを「アスコット結び」にした「又の字」と同様に、立衿シャツと組合わせて「アスコットな礼装」に用いられます。
「蝉タイ」タイプのアスコットタイは、欧米では花婿の制服、グレーのモーニングと組合されて用いられますが、決して花婿専用ではありません。華やかな昼間パーティには、「又の字」タイプより相応しいかも知れません。ぜひ御活用の程。尚、タイピンは「又の字」同様、「アスコット結び」の結び目の直下に付いている事を、確かめてからにして下さい。
他社のアスコットタイの中には、本来の「アスコット結び」の簡単結び「パフ(ふんわり結び)タイ」をフォーマルと勘違いして、花婿用に商品化した品もあります。
アスコットの簡単結び「パフタイ」は、18世紀−19世紀にフロックコート、モーニングコート、テールコート等と組合わされて、オフィシャルな「場」でのビジネスの服装に用いられました。今では、馬術競技の乗馬服に用いられるだけです。礼装用では有りません。これを用いても礼装には、なりません。
本物と混同されているアスコットスカーフ「パフタイ」は、全くのカジュアル用です。
「軽井沢ブラックタイ」として、気さくな楽しいパーティに最適な組合わせです。
アスコットスカーフ「パフタイ」(百貨店・メンズショップで、アスコットタイとして扱っています。)の緩まない結び方は、『軽井沢ブラックタイのススメ』を御覧下さい。
昔の手結びの蝶ネクタイと違って、現在市販されている、ほとんどの蝶ネクタイの付け方は簡単です。
先ずアジャスターで紐の長さを、衿回りに合わせて調節します。次に立衿のシャツの背テープに紐を通します。そして紐の端についている引っ掛けの留金を、蝶ネクタイの結び目の裏側の留金に引っ掛けます。最後に衿にフィットする様に、アジャスターで調節して下さい。
尚、普通のワイシャツ衿の場合は、上衿の上げ下げが面倒です。
それにしても、手結びの蝶タイを正しく結ぶためには、相当の根気と技術を必要とします。1940年代には、そのための図解が有りました。その後、結んだ形で金具で留める、現在の蝶タイが現れて、1960年代には、従来の手結びの蝶タイに、完全に取って代りました。
これは、シャツの衿の形の変遷と関連があります。チャイナ衿(マオカラー)の衿が高くなって、立衿(ハイカラー:千円札の夏目漱石さん参照)に。その衿先が折れて、立衿(ウイングカラー:五千円札の新渡戸稲造さん参照)に。更に衿を高くして二つ折り、こうして現在のシャツ衿になりました。
ハイカラーでは、衿先が自然に折れ曲がっても、衿が蝶タイの羽根の下になる事は、ありませんでした。またシャツ衿では、衿が蝶タイの羽根の上になる事は、絶対にありません。ハイカラーとシャツ衿の間の、立衿(ウイングカラー)では、どちらとも言えません。
私の場合は、立衿シャツの衿は、蝶タイの羽根の下にします。蝶タイが、衿の跳ね上がるのを抑え、衿が、蝶タイの横ずれを防ぎます。大きな蝶タイの場合は、立衿シャツの衿を、蝶タイの羽根の上にします。衿の形が良く分かり、蝶タイが若干小さく格好良く見えます。